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就活も「正しく怖がる」

 新型コロナウィルスは、世界経済にも深刻な影響を及ぼし、様々な企業の業績の悪化が伝えられています。2021年卒の大学生の就職活動も、合同企業説明会が中止されたり、WEB面接に切り替えられたりといった影響を受けていますが、さらに、業績が悪化した企業が採用予定数を減らすことが想定されます。就職活動がやりにくいという問題ではなく、就職すること自体が難しくなるという意味で厳しさを増すと考えられます。

 リクルートワークス研究所の調査データによると、2020年卒の大卒の求人倍率は1.83倍でした。就職を希望する学生一人に対して、2件近い求人があるという割合です。採用する企業側から言えば、大卒を採用したいと思っても予定通りの人数を採用できないという数字です。就職難ではなくて、採用難という状態です。採用難は学生からすると、さほど苦労せずに内定をもらえる状態ということになります。

 就活に取り組んでいる学生にとっては、楽になったという実感はないと思います。しかし、毎年、学生の就職活動を見守っている立場からすると、10年前に比べてここ数年は楽な就活だったと言えます。ここ数年は、多くても20~30社程度、中には数社の選考を受けただけで就活を終える学生もいました。

 その状態が一変するだろうと思います。2008年のリーマンショック後の世界的な景気の落ち込みと同程度か、それ以上の景気悪化が心配されています。2012年卒の頃の学生の中には、100社を超える企業の選考を受け続けて、それでも内定を得られないという学生がいました。私の周りの学生についていえば、50社程度の選考を受けてようやく内定を得るという学生がいても特に驚かない状態でした。そういう状態の就職活動が、再び繰り返されるだろうと心配しています。

 新型コロナウィルスに関して不安な気持ちになっているところに、就職活動の不安も重なると、沈んだ気持ちになるでしょう。それでも敢えて、就職状況の悪化が予想されることを取り上げました。それは就職活動も新型コロナウィルスと同じように「正しく怖がる」必要があると考えているからです。

 リーマンショックの後に、大卒の求人倍率が最も低くなったのは2012年の1.23倍です。一番厳しかったころでも、就職を希望する大学生が全員就職できるだけの求人がありました。ただし、自分が考えていた知名度のある大手企業ではなく、知名度が低い企業だったり、規模の小さい会社だったりはするでしょう。学生は志望企業を選ぶ際に、知名度とイメージに左右されがちです。経営内容や事業の将来性、それに働きやすさよりも、世間体にとらわれた選び方をしてしまいます。知名度とイメージにとらわれずに、自分にとっての優良企業を選ぶ姿勢が何より大切です。景気がいい時も悪い時も、それは同じことです。

 新型コロナウィルスの予防策は、手洗いの励行と咳エチケットです。特効薬やワクチンの開発を待つのではなく、日常生活の中で自分ができる対策です。就職活動で成果を得るための方策は、業界・企業研究と自己分析です。政府に”大胆な”景気刺激策を期待しても、その効果は目前の就職活動には表れないでしょう。業界・企業研究と自己分析は、日常生活の中で自分ができる対策です。就活を「正しく怖がる」ことで、やるべきこと=業界・企業研究と自己分析が見えてきます。当たり前のことを実行することが必要な対策であり、成果につながります。
 
 

by take-marupon | 2020-03-21 13:49 | 新型コロナウィルス